酸素マスクとチューブの違いって???

テレビなどでは、病室のシーンなどで酸素マスクで多く出てくることがあると思います。鼻の穴に装着するチューブ状(カニューレ)のものもあるのはご存知でしょうか?最近では某落語家が退院時やチューブをつけてテレビに出演していたかと思います。では実際に医療現場や施設、在宅でもよく使われている酸素マスクとチューブ(カニューレ)の使用用途の違いなどはなんなのでしょうか?調べてみましたので読んでください。
目次
低酸素流量システム
低酸素流量システムには
①経鼻カニューレ
②リザーバー付き経鼻カニューレ
③酸素マスク
④リザーバー付き酸素マスク
⑤酸素チューブ+人工鼻という種類があります。
それではひとつずつ酸素の投与部位、流量、利点や欠点について記載していきます。わかりやすくするために箇条書きとなります。
① 経鼻カニューレ
投与箇所:鼻腔
流量範囲:低流量 1~5L/分
・顔への接触面積が少なく違和感や閉塞感が少ない
・酸素を吸入しながら会話や食事などができる。
・操作が簡単
・高流量の酸素を投与することで鼻の粘膜を損傷さえる可能性がある。
② リザーバー付き経鼻カニューレ
投与箇所:鼻腔
流量範囲:低流量 1~7L/分
・リザーバーがあることで酸素供給が穏やかになるため、陽圧感が少なくなる。
・金銭的に高価。
・リザーバー部に水滴が付着するとリザーバーに空気がためられないので加湿器との併用が難しい。
③ 酸素マスク
投与箇所:鼻腔、口腔
流量範囲:低流量 5~8L/分
・呼気によって湿気がでるため、鼻腔・口腔粘膜の乾燥が起こりにくい。
・5L/分以上の吸入に適している。
・中濃度酸素投与に適し、安価で手軽に利用できる。
・マスクの密着による閉塞感や不快感がある。
・食事や会話をするのに支障がある。
・呼気等による水滴や吐物による感染を防ぐため定期的に口や鼻の周りをきれいにしておく必要がある。
④ リザーバー付き酸素マスク
投与箇所:鼻腔、口腔
流量範囲:低流量 6L/分~
・リザーバーに溜めた酸素ガスで高濃度の酸素投与が可能。
・加湿瓶などによる酸素の加湿が容易で鼻や口腔粘膜の乾燥を起こしにくい。
・酸素流量が少ないと呼気ガスを再吸入してしまうためPaCO2が上昇する可能性がある。
・高濃度酸素中毒が起きる恐れがあるので、長期間の治療には不向き。
・食事や会話をするのに支障がある。
・マスクの密着による閉塞感や不快感がある。
・マスクが顔面に密着していないとマスクの隙間から空気を吸入してしまい、リザーバーバック内の酸素を十分に吸入することができない。
加湿について
・加湿のしくみとして
滅菌精製水が入ったボトルに専用のアダプターを接続しているもので吸入する前の酸素ガスがボトル内の滅菌水を通ることで加湿されます。
①低流量システムにて酸素吸入を使用する際の加湿の目的
まず体内に吸入される酸素には生理的な値というものがあり
1.温度
2.絶対湿度(実際に含んでいる水蒸気量)
3.相対湿度(絶対湿度 ÷ 飽和水蒸気量 × 100)
が決まっていて吸入の際もなるべく近づけるように調整します。実際の値として、
1.温度:37℃
2.絶対湿度:44㎎/L
3.相対湿度:100%
②気道が乾燥したときに起こる問題は?
乾燥することにより、感染防御力が低下し気管支炎や肺炎の増加してしまいます。また痰がたまることで気道抵抗の増加や気道が閉塞してしまい、呼吸量の増加や低酸素血症につながります。
③加湿が必要かの評価はどうしたらいいの?
先程の生理的な値の湿度と温度と比較してどうかです。口腔内の粘膜が湿っているか、痰が柔らかく、排痰がスムーズかどうか流れている酸素は乾燥しているため、ヒーターを適切に使えているかが評価のポイントになるようです。
④加湿の適応
先程も生理的な数値と比較してと言いましたが、臨床の現場では測定がなかなか困難だと思います。そこで、加湿するかどうかの適応条件があります。
2.気管挿管や気管切開をしている症例
3.分泌物が多量に貯留し、排出が困難な症例
4.口腔内が乾燥し、分泌物の粘調度が高い症例(特に喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)など)
これらの条件に合えば加湿を実施するというのが一般的なようです。
おわりに...
使用用途の違いはなんとなくわかりましたでしょうか?
酸素マスクを使用するときに使用する物品なども出てきていますが、文字だけではわかりにくいですよね???
画像がみつかりましたら、載せていきたいと思います。
酸素吸入は、リハビリ職種にとってあまりなじみのない部分かと思います。
呼吸療法士などを取得している方からすればわかるのかもしれないですが、なかなかさわらない部分ですのでしっかりと学んでおきたいですね。
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